静岡ラーメン放浪記

　パンドラの箱

　ギリシャ神話によると、地上の生物はみな神によって作られたものだという。

　宇宙の主であるゼウスは、プロメテウスに生物の創造を命ずる。
プロメテウスと弟のエピメテウスは、大地の土くれを水で練って、魚と鳥と獣を作った。
最後に、神々の姿に似せて、人間を作った。

　生物には、様々な能力を与えた。
魚には自由に水の中を泳ぐ能力。
鳥には大空を翔る羽。
気が付くと人間には、もう与えるものが残っていなかった。
そこでプロメテウスは、こっそりと太陽から火を盗んできて、これを人類に与えた。
これが元でプロメテウスは恐ろしい裁きを受けることになるのだ。

　始め人類は男性だけだった。
そこへゼウスは女性を作り出し、地上へ送り出した。
この女性こそがパンドラだ。

　エピメテウスの妻となったパンドラは、地上に降りる時、神々から贈り物の壺（一説では箱ともいわれている）を与えられていた。
決して開けてはならないと言われていたにもかかわらず、好奇心からパンドラは壺の蓋を開けてしまう。

　壺の中からは黒い煙と共に、様々な不幸や悲しみが飛び出して、人間界に散らばってしまった。
（それまでは人間界には、病気や災難などが一切無かったのだ）
これが現在ある人間の苦しみや厄災の元になっているのだという。
しかし、壺の中に一つだけ残っていたものがある。
それこそが「希望」

　異説によると、逆に、箱の中に入っていたものは善なるものであり、それがパンドラによって逃げてしまった。
しかし慌てて閉めたために、最後に残った希望だけは逃げていけなかった。
このような説もあるようです。
どちらかというとこの方がスマートだ。

　まあ人類の苦悩と言うものも奥の深いものであります。