静岡ラーメン放浪記

駿河居酒屋　福助

　静岡でも老舗の居酒屋である。
新聞に出ていた「特製もつ鍋」が美味しそうだったので、友人と待ち合わせて、店に入る。

　６時前の店内は先客が一組のみ。
景気が回復したとはいえ、まだまだ最盛期の賑わいからはほど遠いようだ。
四人掛けのテーブル席に案内され、おしぼりが出される。

　まずは中生ビールで乾杯。
店員がお盆に載せた５つの小鉢を差し出す。
ここのお通しはお好みで、その中から選ぶのだ。
中の一つに白子があったので、迷わずこれを取る。
他には「生じらす」や「まぐろすき身」などの、気の利いた品が並んでいる。

　つまみは取りあえず「もつカレー煮」と、「芝エビ唐揚げ」を注文する。
ジョッキが空いたので、２杯目は日本酒にする。
友人は「ふぐのひれ酒」で、香りが高い冬の酒だ。

　さてさて、いよいよ鍋にするか。
「もつ鍋」には普通のものと「特製もつ鍋」とがあり「特製」が値段高めになっている。
テーブルにガスこんろが出され、２人前の「特製もつ鍋」が乗せられた。
モツは生の牛もつだ。
にらやキャベツなどの野菜が盛りだくさんである。

　段々に煮えてくると、店員さんが
「お嫌いでなければ、薬味を入れましょうか」という。
鍋の脇には鮮やかな、みじん切りの赤唐辛子に、スライスしたニンニクチップが置いてあった。
これは後で小皿に取る時に使うのかと思っていたが、初めに全部入れてしまうのだ。
かなりの量を鍋にドサッと入れてしまう。

　グツグツとモツが美味しそうに煮えてきた。
お玉ですくって、モツにかぶりつく。
柔らかで、脂の加減がまた良い。
さすがに新鮮なモツを使っているようだ。
けっこう辛いのだが、これがまた食欲を刺激する。

　汗をかきかき、鍋と格闘すること僅かに１０分ほど。
スープまで飲み干してしまい、あっという間に鍋は空っぽになってしまった。
これではシメも作れないか。
いやあ、「特製モツ鍋」美味かったですねえ。