静岡ラーメン放浪記

美濃屋＠安西

　静岡市内に「美濃屋」という名前のお店は、何軒かあります。
いずれものれん分けしたもので、静岡では大御所の部類に入る中華飯店です。
その中でも一番と言えるのがここ、「美濃屋安西支店」です。

　あいにくパラパラと雨が降ってきたので、慌てて自転車を走らせます。
安西の広い通り沿いにあるお店は、その前が広い駐車場になっています。
自転車を止めてお店に入ります。

　広いお店ですが、入り口側の席には老年の男性がお一人で食事中でした。
さっそく二人掛けのテーブル席に座ります。
すぐにお冷やとメニューが出されます。
迷うことなく、「ラーメン（４７０円）」を注文しました。

　ゆったりと広い店内は、雨模様のためかお客も少なく、しんとしています。
ぼんやりと出来上がりを待っていると、女性がスポーツ新聞を持ってきてくれました。
こういうさりげない気配りが良いですねえ。

　僅かな間といえども、お客さんを退屈させないようにとの配慮は嬉しい限りです。
思えば昔の飲食店ではよくあった光景でした。

　もちろん待つほどもなくラーメンが出てきました。
お馴染みの美濃屋のラーメンです。

　コショウを掛けて、まずはスープをすすります。
熱いです。
脂の少ないさっぱりとした醤油味は、薄味で懐かしい昔風のラーメンですね。
その具には、チャーシューが二切れに焦げ茶色のメンマが乗っています。

　チャーシューは適度の堅さを残していて、今時ではないかもしれませんが、私はこれが好みです。
麺は細麺のストレートで、食べやすいお馴染みの中華麺ですね。

　ラーメンを食べていると、ちょうど頃合い時なのか、お客さんが続いて入ってきました。
「ラーメンセット二つ」
あれ、確かメニューにはなかったはずが。
お昼時専門のメニューがあるのは気が付きませんでしたね。
次はそれを試してみましょう。

「ごちそうさま」
お会計をして自転車のところに戻ると、自転車は屋根の下に移動してありました。
少しでも濡れないようにとの気配りは、雨で湿った心を晴れ晴れとさせてくれます。

「ごちそうさま」
もう一度胸の中でお礼を告げるのでした。