静岡ラーメン放浪記

鶏ちゃん＠浜松

　浜松でのお仕事を終え、帰りの新幹線までの時間限定飲みです。
正味でいうと３０分ほどですが、このクールダウンが大切なんですね。
まず最初に向かったのは、去年初めて行った印象が抜群だったあのお店です。

　夜道を歩いていきますと、目の前には若いお兄ちゃんが同じ方向に歩いていました。
何となく私が後を追いかけているようにも見えます。
振り返った時に私に気づいたような雰囲気がありました。
（ま、いいか）
不思議なことにお兄ちゃんは路地裏に向かってまっしぐらです。
目指すお店が見えてきました。


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　するとどうしたことでしょうか。
私が入ろうとしていたお店にそのお兄ちゃんがすうっと入っていくではありませんか。
これは偶然ですね。
私はといいますとそのまま入るタイミングを逸してしまいました。

　そこでドアの隙間から中の様子をちらっと見ると、困ったことにそのお兄ちゃんとまたもや目が合ってしまいました。
これは怪しすぎます。
とても入れるような雰囲気ではなくなってしまい、今日は諦めました。
とても小心者の私ですね。

　そこで通りをぶらぶら歩いていますと、呼び込みのオジサンに声を掛けられました。
「お客さんお一人？」
「ええそうですが」
「ここ入ってよ、サービス券あるから」
そんな風なやりとりがあって、お店に引き込まれてしまいました。
まあ時間もないしこのあたりで済ませようと思っていましたから別に異存はありません。


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　オジサンは店長さんらしく、お店の正面でお持ち帰りの焼き鳥を焼いているような感じでした。
６人ほども座れるテーブル席に一人だけ案内されました。
お店の名前は、「鶏ちゃん本家」でしょうか。


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　「ご注文は？」
若い女性が、おしぼりを持ってきてくれます。
「レモンハイ（３８０円）と、鶏ちゃん（６００円）下さい」
「味はどうしますか」
「醤油で」
さあどうなるかな。


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　すぐに出てきたのは、レモンハイですね。
先ほどオジサンにもらったサービス券でこれが２５０円になるとのことです。
まあこれはほどほどのお味でした。
お店には若いサラリーマンさんが何組か入っていて賑わっていました。
皆さんが鶏ちゃんを食べています。


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　「お通しです」
これは鶏肉を甘辛く煮付けたものですね。
まあごく普通のお通しです。


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　そしてメインの、「鶏ちゃん」が出てきました。
途中で気が付きましたがこれは鍋のようなものです。
平たい鉄の鍋に紙を敷いてあります。
その上には鳥肉とキャベツ、モヤシが合わされて、そこに醤油味のタレが掛かっていました。
これを卓上のガスコンロにのせて、オネエサンが火を付けました。

　そうか、出来上がりを出すんではなくテーブルで調理するシステムなんですね。
この、紙が敷いてあるところが独特です。
間に鉄板がありますし、水分もあるので燃えることはありません。
焦げ付きがないので鍋を洗う時に便利なのかもしれないです。

　今日も喉が渇いていたため、レモンハイはすぐに空きました。
しかしここで困った事態になりました。
「鍋がなかなか煮えてこない」
という大問題が発生したんです。

　火力が弱いのか、ガスコンロのつまみを最大に回してもダメです。
もちろんカセット式ではなく普通の都市ガス仕様ですから、それほど弱いはずがないんですが、全く煮えてきません。
かといって半生で食べるというわけにもいきません。
なぜかというとお店の中の張り紙に
「鶏肉には雑菌が付いていますので十分に加熱してお召し上がり下さい」
そう書いてあったんです。

　何かおかしい感じもしますが、私も生は不得意ですから、じりじりしながら待っています。
１０分経過してもまだダメです。
仕方なく瓶ビール（５８０円）をいただきます。


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　一杯目は注いでくれましたが、こういうちょっとしたサービスは嬉しいですね。


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　１５分経過でも鶏ちゃんはまだこの状態です。
これはまさかの時間切れになりそうな雰囲気です。
最終ではないですから最悪新幹線を１本遅らせれば良いんですが、それならもう１本お酒が必要になります。
そんな考えをあれこれと繋いでいますが、じっと静かな鍋のままです。

　２０分経過したころにようやく沸騰してきました。
それにしても出来上がりがこんなに遅いとは思いませんでした。
大勢なら良いですが一人ですからこれを食べるのにもまた時間が掛かります。
「鶏ちゃん」はピリ辛で美味しかったですが、時間に追われて味わうどころではありませんでした。
さらには出来上がりの熱々ですから、ますますもって食べるのには時間が掛かりました。

　最後の方はお酒もなくなってしまい、鶏ちゃんだけを焦っていただきます。
熱いは辛いは、気が急くはで、大変な事態になってしまいました。
知らなかったこととはいえこれは大失敗でした。

　お会計をすると、１５６０円でした。
これは定価通りですが、偶然お通しの代金がサービス分と同じだったのかな。
その時は考えるまもなく走って駅に向かいました。
しかしお酒を飲んでから走るのは回りますから、よい子の皆さんは止めましょうね。


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　駅に着くと乗るはずの新幹線は、律儀に私を待ってくれていました。
いやあ良かった良かった。
結局今回も飲み足りない分はキオスクで補うことになりました。
この日は最後まで中途半端でしたね。


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