静岡ラーメン放浪記

足るを知るということ

　私の菩提寺には円形のもので、「口」という字を真ん中にして、上に「吾」、右に「唯」、下に「足」、左に「知」と書いた石碑がある。

　つくばいなどにもある文字で、出典は知らないが、よく見かける文句は、たぶん
「吾（われ）、唯（ただ）、足（たりる、またはたる）を、知（しる）」と読ませるのだろう。

　この「足るを知る」と言うことは大切なことです。
ご存じの通り人間の欲望には限りがない。
逆に言えば、人類の欲望が文明の発展をもたらしたと言うことも出来ます。
それはそれで良いのだけれども、それが幸せに結びつくとは限らない。

　よく言う例えだが、コップに水が半分入っている時に
「もう半分飲んでしまった」
と考えるか
「まだ半分も残っている」
と考えるかは、大きな違いになる。

　しかし、果たしてどちらが幸せかというと、なかなかに結論は出ないだろう。
半分しかない水を一杯にしようと井戸を掘り当てて、腹一杯水が飲めたと言うこともあるかもしれない。
けれどもそれは希であって、不満による不幸の方が多いのが現状だ。
要するにどこまで割り切れるかと言うことなんだろうか。

　ギャンブルなんかをやりますと、そんな性格がもろに出ます。
まあそれが自分自身の範囲にとどまっていれば、他人の口出しすることではないんですが。
借金を重ねるようになってしまうと、困ったことになります。
それにつけ込む「サラ金」が問題になったのは言うまでもないことです。

　最近多い「銀行強盗」「コンビニで万引き」そんな記事を見るにつけて、「足るを知る」ことの出来ない寂しさを感じます。
「遊ぶ金欲しさの凶行」というのが、嫌な決まり文句になりました。
まさしく「足りる」ことを知らない人間の愚行と言えるでしょう。

　豊かさというものは時に人間そのものを盲目にさせてしまう。
「足りない」ということに対する解決を、自分に求めてゆくのか、周囲に求めてゆくのか。
解決の道はそのベクトルの向かう方向にあると思います。