静岡ラーメン放浪記

大門＠静岡インター前移動店舗

　ラーメン店と行ってもこの店はちょっと変わっています。
期間限定の移動店舗なのですね。
自分の土地を持たず、全国を巡り回っては、適当な空き地を探して仮店舗での営業をする。
同じ場所では２ヶ月ほどで店をたたみ、また次の土地へと渡り歩くという、ジプシーラーメンなのです。

　実は１年ほど前にも静岡に出店していたことがありました。
更に前には静岡県内の他の地区、袋井や富士などにも出していたそうです。

　この期間限定の出店という形式、新しい物好きの静岡人にはぴったりかもしれません。
なんせ、静岡では新しい店は一時的に大人気になります。
ところが数ヶ月経って飽きると、あっという間に閑古鳥が鳴く有様。
そうなるともう回復は不可能。
お客が集中するオイシイ時だけの営業というのは、まさにぴったりですね。

　さて、店舗の場所ですが、東名は静岡インター出口のすぐそばという、目に付くところです。
店舗はまさに仮設という言葉がふさわしい、むき出しの鉄パイプで囲まれたバラックです。

　そこの一角に大きくオレンジのビニールシートに「熊本ラーメン　大門」と掲げられてあります。
営業時間は１１時３０分から、途中休憩を挟んで夜２３時までと結構頑張っています。
入り口の貼り紙に、この場所での営業期間は１２月２４日までとあります。
やはり２ヶ月限定の営業ですね。

　今日は開店すぐに店に着いたのですが、既に先客は二人いました。
店は透明なビニールで囲まれた造りで、冬になるとすきま風が吹き込んで寒そうです。
その対策か店の真ん中には大型のストーブが１台置いてあります。
まあ今日ぐらいの暖かさなら、全く必要はありません。

　店内は広く、１０人ぐらい掛けられそうな大型のテーブルが３カ所に設置されてあります。

　メニューは余り多くなく、ラーメンが３種類、いや４種類か。
スタンダードな「白ボッチ（６３０円）」に辛い「赤ボッチ（６５０円）」、黒いマー油が乗った｛黒ボッチ（６５０円）」、おまけに「赤黒ボッチ（６５０円）」が基本のラインナップ。
それにトッピングであれこれと入れると値段が変わってきます。

　全部入れる「スペシャル」になるとお値段も１１００円以上ですが、私は普通の「赤ボッチ」で、辛さ２倍（無料）を頼むことにしました。
ラーメン以外のメニューでは「熊本パリパリギョウザ」というヤツもあります。

　店の前の空き地が駐車場になっていて、かなり広いです。
場所柄これはかなり有利な条件ですね。
どこで聞きつけたのか、あるいは通りすがりに気づいたのか、お客さんがひっきりなしに入ってきます。

　お店の人は２人だけ。
がっしりとした体格の中年男性が、厨房で一人頑張っています。
もう一人の女性が注文と配膳を受けているのですが、二人だけで大丈夫なのかな。

　私の前の席にも、中年の二人連れが入ってきて、いきなり店員さんに
「これ何が一番旨いの」
予想どおりの答えが返ってくる
「スペシャル（全部入り）がお勧めです」
さすがは商売上手。
二人は「白ボッチスペシャル」二つに、「熊本パリパリギョウザ」もたのんでいたが、元気だねえ。

　さて、３人目なのでそれほど時間も掛からずに「赤ボッチ」が出てきました。
スープは綺麗な白いトンコツスープ。
具はチャーシュー１枚に、お馴染みの細切りキクラゲとノリにネギ。
そして紅に染まる特製辛味噌が真ん中に鎮座している。
つまりは「白ボッチ」プラス「辛味噌」という分かり易い構成だ。

　まずはスープを一口啜る。
クリーミーなトンコツスープです。
あらかじめ工場かどこかで作っているのだろうか、生臭みの少ない一般受けするトンコツスープですね。

　まずはそのままのスープでラーメンをいただく。
麺は細麺のストレートで、柔らかすぎず程良い腰がある、いい茹で加減だ。
続いて「辛味噌」をスープに溶かしてみる。
見る間にスープは真っ赤な色にと変化する。
これをすすると、やっぱり辛い。

　それも初めにはたいしたこと無いと思っていたが、底にこずんでいるのですね。
残りが少なくなってきてから、底の方のスープをすくうと、辛さが強烈に出てきました。
うん、これは辛いですね。
その辛さが刺激になって、また飲みたくなります。

　さすがにスープは飲み干せませんでしたが、なかなかの１杯でした。
日本人は「限定」という言葉に弱いですね。