2008.06.05 Thursday
伝説の店
江戸の高級料理茶屋として有名だったのが、浅草山谷の八百善。
ある通人が八百善で茶漬け飯を注文した。
たぶん通ぶって
「高くても構わんから、旨い茶漬けを食わせろ」
そんな感じで注文したんでしょうね。
小半日も待たされてから、ようやく「かくや」の香の物と、煎茶の土瓶を持ってきた。
香の物は、春には珍しい、瓜となすびの粕漬けを切り混ぜたものである。
茶漬けの飯を食い終わり、値段を聞いて目をむいた。
何と金一両二分だという。
いくら香の物が珍しいとはいえ、たかが茶漬け飯一杯。
それで一両二分も取るというのは、いくら何でもべらぼうな話だと、亭主に文句を付けた。
ところが、八百善の亭主は動じる色もなく、こう答えた。
あなた様は高いといわれるが、香の物の値はともかく、お茶の値が高いのです。
いや、茶そのものは、いかに極上の品を使ったとて、ひと土瓶に半斤とは入りません。
これとてさしたる事ではありませんが、この茶に合う水が近くにないのです。
そこで、遠く玉川まで水汲みに人を走らせました。
その水を取り寄せる、早飛脚の運賃が莫大となくかかるため、このような茶漬け飯の値段となるわけでございます。
客は代金を支払い、すごすごと引き上げたといいます。
これは享和年間のエピソードですが、はたして一両二分とはどのぐらいの価値があるのか調べてみます。
それよりも物価の高騰した幕末でも、月に一両二分あれば、親子四五人はそう心配なく暮らせたのだといいます。
比較してみると、八百善の茶漬け飯は、かなりの高値だったわけですね。
別の話でも、八百善の名前が出てきます。
両国は広小路の盛り場で、「鍋の小判」という遊びが評判をよんでいました。
これは、鍋の中に油を一杯入れ、底に小判を沈めてある。
幾文かの銭を払うと、真鍮の火箸で小判を挟ませる。
挟んだ分だけの小判をくれるという遊びだ。
もとより、油の中の小判を真鍮ではさみとれるわけもなく、十人が十人とも、銭を巻き上げられる。
欲に釣られて、ついつい手を出し、銭を取られる客が後を絶たなかった。
ところがある日、一人の職人風の男がやってきた。
銭を払うと、みるみるうちに鍋の底の小判をつまみ出した。
ひょいひょいと、苦もなく真鍮の火箸で小判を挟むのである。
全部つまみ上げた職人風の男は
「これからもこんな事をしているようなら、おいらが毎日来て、みんな挟みだしてしまうぞ」
と意見をした上で、小判を返却して立ち去った。
これが「八百善」の板前らしいという評判がしばらく江戸の巷をにぎわしたといいます。
昔にはこんな伝説の店があったんですねえ。
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