2008.02.02 Saturday
マラソンランナーの悲劇・続き
マラソンランナーの悲劇・続
さて、人間が全速力で走ったとします。
最初の２，３秒で筋肉中のＡＴＰは使い切ってしまいます。
そこで、これを補うために筋肉の中にある「クレアチンリン酸」というものが働いて、ＡＴＰを再生産してくれます。
でも、これも１５秒ぐらいしか持ちません。
全力疾走出来るのはここまでです。（これが�，謀�たります）
次に使われるエネルギーは、筋肉に貯蔵されているグリコーゲンです。
グリコーゲンとは、ブドウ糖が集まって出来たもので、速やかにブドウ糖になります。
しかし酸素の供給が不十分なため、不完全燃焼して乳酸が作られてきます。
（これが�△謀�たります）
ようやくグリコーゲンの完全燃焼を出来るようになるには、それから千メートル過ぎた時点です。
時間では２分１０秒ほどするとエネルギーを安定して補給出来るようになります。
この、酸素を利用する「好気呼吸」（正確には代謝）に切り替わると、ペースは落ちますがグリコーゲンが続く限り走り続けることが出来ます。
しかしこれにも限度があります。
蓄えておいたグリコーゲンが無くなると、もうエネルギーを供給出来なくなります。
これは普通の大人では６０分、スポーツ選手でも７５分ほどで、距離にすると２５キロから３０キロになります。
まさに今回福士選手が失速したのと同じぐらいの距離になるわけです。
肝臓に蓄えられたグリコーゲンを使ったり、外部から即効性の糖分を補給したりして、多少伸ばすことは出来ますが、これにも限度があります。
なお、グリコーゲンを使い果たすと、補給するのに最低２４時間は掛かるといわれています。
そしてブドウ糖の次の燃料になるのが、「脂肪」です。
脂肪はブドウ糖よりも酸素を多く使い、エネルギーを多く出します。
したがってその分、呼吸もたくさんしなくてはいけないことになります。
エネルギー源が脂肪に切り替わることによって、それ以後はかなり長く安定して走れるようになります。
さて、そこで生じる疑問は、なぜ両方同時に使わないのかということですね。
これはホルモンの働きによります。
簡単に言いますと、糖が燃える時には脂肪は燃えないように制御され、脂肪が燃える時には糖は燃えないようにコントロールされているのです。
したがってこの切り替えがスムーズに行かないと、運動能力ががくんと低下することになります。
今回の悲劇はまさにその切り替えが不十分だった事によるのではないかと推測します。
おそらく彼女自身がこの燃料の切り替えを体験したことが無く、体もその準備が出来ていなかったのではないでしょうか。
（注）
私はその専門家ではありませんので、あくまでも科学的な考察のみによります。
話は替わりますが、体脂肪を減らしたい方。
脂肪を燃やすためには、２時間以上のウオーキングをすれば、かなりの効果がありますよ。
でも、無理は禁物ですので、御注意下さい。
