2007.10.02 Tuesday
空気から作る薬品
PETのお話し
PET といったら何を思い浮かべますか。
犬や猫のペットではありません。
更にペットボトル(ポリエチレン・テレフタレート)でもない。
最近話題になっているのが「癌の新しい診断法」PET(Positron Emission Tomography)です。
これはガン細胞が通常の組織細胞と比較して、3.8倍のブドウ糖を消費する、という特異な性質を利用します。
使用するのはブドウ糖によく似た構造の物質「FDG」(フルオロ・2ジオキシ・Dグルコース)です。
まずこの物質を被験者に静脈注射します。
生体内でこの物質はブドウ糖として扱われるので、ガン細胞により多く取り込まれます。
FDGに含まれる18F(フッ素原子の同位体)は放射能を持っています。
そこで全身を陽電子放射断層撮影すると、ガン細胞が特定できることになります。
放射能というと、障害が気になりますが、それは大丈夫。
この18Fは半減期が110分ときわめて短く、放射線による障害は少ないのです。
従来使われていた、X線のCT検査に比べても安全だといわれています。
特徴は数時間程度の検査1回で全身をくまなく、苦痛なく検査できることです。
また細胞分裂が活発な、悪性の癌ほど見つけやすいということもあります。
さて、この検診に用いる物質「FDG」はどうやって作るのでしょうか。
まず、酸素の同位体(中性子の数が多い原子)18Oを含んだ水(H2O)を、サイクロトロンで18Fに原子変換します。
これを原料として、化学的にFDGを合成するのです。
そこでこの原料の水(酸素18標識水)が重要になります。
じつはこの標識水、数年前まではアメリカとイスラエルの数社でしか生産していなかったそうです。
需要の増加に伴って、この原料の日本での生産が望まれてきました。
ではどうやって作るのかといいますと、答えは空気中にあります。
私たちの回りの空気には、約20%の酸素が含まれています。
そのほとんどが16Oですが、ごく僅かに17Oと18Oが含まれているのです。
これを分別すればよろしいのですが、さてどうやって行うのか。
実は同位体の質量が異なるので、ほんの僅かな沸点の違いが生じます。
沸点はいずれも摂氏マイナス183度あたりで、その違いは1度ほどしかありません。
これを何重もの装置で行うのですが、制作にはかなりの苦労があったそうです。
そのかいあってか、現在では日本での必要量は確保されて、安定供給が出来るようになりました。
空気から薬品を作る。
なんかロマンがあって良いなあ。
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