2007.04.17 Tuesday
岩田聡氏講演より
岩田聡 任天堂社長 の講演より
岩田氏が任天堂の社長に就任したのは2002年。
当時のゲーム市場は低迷期であった。
1997年を頂点にして、日本のゲーム市場は年々縮小を続けていた。
その原因は「ゲーム離れ」にある。
当時のゲーム業界は、ゲームに対して技術の進歩を次々と取り入れていった。
内容はより豪華になり、リアルなゲームが作られていった。
ゲームの熟練者は大喜びであったが、実はその蔭で静かに初心者のゲーム離れが進んでいった。
優良顧客である「ゲーム熟練者」の言うことを聞けば聞くほど、そのほかの顧客が離れてゆくという状況になっていたのだ。
これを経済学者のクリステンセンは「イノベーションのジレンマ」と名付けている。
「顧客の意見に耳を傾けよ」というスローガンがよく使われるが、このアドバイスはいつも正しいとはかぎらないようだ。
むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある。
クリステンセンはイノベーションを「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」に分けた。
「持続的イノベーション」は既存顧客に歓迎されるもので、ゲーム熟練者の要求にあたる。
これに答えて行くうちに、素晴らしい商品にはなるが、初心者を初めとする大部分の顧客には性能過剰になり、
やがて、市場からは離れてしまうことになる。
それに対して「破壊的イノベーション」は低い性能ながら、従来製品とは異なる性能を持つ。
最初は少ない市場になるが、未来は分からない。
よってこの分野はベンチャー的企業が狙うことになる。
さて、当時のゲーム業界では、据え置き型のゲーム機は性能過剰になっていたのである。
そこで岩田社長は「ゲーム人口の拡大」を任天堂の基本戦略にした。
キーワードは次の通りだ。
5歳から95歳までが対象
ゲーム経験の有無を問わない
誰もが同じスタートラインに立てる
家族の誰にも敵視されない
お母さんに嫌われない
このコンセプトの元で生まれたのが、04年12月に発売された携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」である。
この商品が爆発的なヒットをした事は、彼の戦略の正しさを示すものである。
更には、2006年12月の「Wii」発売へと続き、これも大ヒットしている。
と、ここまで書いて、まだ本題に入っていないことに気付いた。
まだまだ長くなりそうなので、続きはまたの機会に。
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