2007.04.26 Thursday
マイナスイオン
マイナスイオンとは
化学の講義の後で生徒から質問があり、「マイナスイオン」について聞かれた。
そう言えばそんなモンがあったかいな?
しかしまだ信じてる人もいるんだろうと、思い直して説明した。
まあ立場上、きちんとして置かなくてはいけないので、色々調べてみた。
世の中、色々なエセ科学現象が、売り込みに使われているが、これもその一つです。
まず、学術的には「マイナスイオン」という言葉はありません。
もしそれに相当する言葉を挙げるとしたら「陰イオン」ということになります。
「マイナスイオン」が「陰イオン」を表すものだとして話を進めます。
原子または分子がイオンになる時は、電子が移動します。
電子を失ったものが「陽イオン」、得たものが「陰イオン」になります。
したがって、「陰イオンだけを生成する」というのは出来ません。
水などの溶液中では、イオンは安定ですが、気体中ではかなり不安定になります。
例えば、「食塩水」には「塩化物イオン」という陰イオンが水分子を伴って安定に存在しています。
空気中の「陰イオン」として考えられるのは酸素イオンの水和物ぐらいが適当だろうか。
しかしこれはかなり不安定なはずです。
例えば、硫酸イオンや、硝酸イオンを細かい霧にして飛散させれば、そこそこの「陰イオン」になるが、ちょっと怖いね。
どう考えても体に良いとは思えない。
つまり「マイナスイオン」という言葉自体に、実体がないのです。
次に、謳われているその効果ですが、これも全く不明です。
まあ、実体がないのですから、当たり前とは言えますが。
良く引用される例として、滝からマイナスイオンが出ていて体に良い、と最もらしいのがあります。
これは滝から落ちる水による効果が大きいのでしょう。
実は「発掘あるある大事典」が特集をしたこともあったそうなので、やっぱりねつ造の一つですね。
まとめますと、「そんな物はない」そして「健康に関する効果はない」の二つです。
ブームになった頃は、インチキな機械を売りつけられて、被害を被った方も、けっこういたそうです。
皆さんお気を付け下さいね。
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